訓練兵の選択肢
訓練兵の中でもケンカの絶えないエレンとジャン。
ともに優秀な兵士候補生だが、考え方が真っ向から対立します。
ジャン「人類は巨人に勝てない。壁の中でもより安全性の高い王室のそばで憲兵団を務め、人類最後の日まで快適に暮らすのがベスト。」
エレン「希望を捨てて現実逃避し、大人しく巨人の飯になるなんて嫌だ。俺の夢は調査兵団に入って巨人を駆逐し、外の世界を探検すること。」
これは決して二人だけの対立ではありません。
全人類が抱える心の葛藤を、この二人が代表して分かりやすく体現している構図です。
結果として、この訓練所ではエレンの言葉に惹きつけられて多くの訓練兵が調査兵団へ入団しました。
(『進撃の巨人』第3話より)
誰もが答えのない葛藤を抱えて過ごしていたことが分かります。
もしマルコが死んでいなかったら
ジャンは感情的にエレンに絡んでいただけではなく、深い思慮を持って憲兵団入りを希望していました。
しかし結論から言うと、友人のマルコが誰も見てないところで巨人に食われ死体となった姿を見たことで、調査兵団入りを決意します。
(『進撃の巨人』第3話より)
もしマルコが死んでいなかったら、間違いなくジャンは憲兵団となっていたでしょう。下手したらジャンは第一中央憲兵となり、ケニー・アッカーマンの部下となってエレンの前に立ちふさがっていたかもしれません。
そうなっていたらエレンはかなり分が悪い。歴史は大きく変わっていたでしょうね。
マルコはアニの手によって追い詰められ殺されるのですが、それも歴史上の大きな必然だったのかもしれません。
このように、人はちょっとしたことで大きく揺らぐ生き物なのですが、「自由になりたい」という一点においてまったくブレないエレンだけが、この世の運命の担い手としてふさわしい存在だったのでしょう。
サシャはなぜ調査兵団に入ったのか
サシャは人一倍、食い意地の張った田舎娘です。とにかく食べることが好き。
(『進撃の巨人』第3話より)
そんなサシャがなぜ食糧の豊富な内地勤務ではなく、わざわざ調査兵団を選んだのでしょうか。
サシャは山奥で狩人の娘として育てられました。伝統を重んじ、よそ者を嫌う傾向にあります。
よそ者が増えると獲物が減りますから死活問題です。自分が生き残るために、よそ者を排除すべきだと考えていました。
そんなサシャに対して父親は諭します。「みんなで生き残るためには伝統を捨て生き方を変えなければならない」と。
(『進撃の巨人』第36話より)
そしてサシャは訓練兵になりました。
気にしていないように見えますが実は田舎育ちにコンプレックスを持っていて、訛りを隠すために普段から敬語を使っています。
よそ者に対して警戒心が強いのですが、愛情と食糧を与えられるとなついてしまう。まさに山の獣。


(『進撃の巨人』第17話より)
エレン・ミカサ・コニーなどのイジリは、サシャにとってたまらない愛情表現だったでしょう。すっかりなついて調査兵団にまで着いてきてしまった(?)。
とは言え、実は父の言葉がいつまでも心に引っかかっていて、それが調査兵団入りの決定打となっているでしょう。
(『進撃の巨人』第36話より)
自分だけが生き残ろうとしても野垂れ死ぬだけ。
それよりも、みんなで戦ってみんなで生き残る。そういう生き方を選んだわけですね。
壁の上にて作業
訓練兵団の解散式を終え、その夜が明けると訓練兵たちは壁の上で何やら作業をしています。
まだ配属は決まっていませんから、訓練兵として雑用をこなしているのでしょう。
壁上固定砲の整備をしているのかと思われます。
場所はトロスト区。その下には無垢の巨人達がうようよ歩き回っている状況。にも関わらずけっこう和やかな雰囲気です。
直後に恐ろしいことが起こるであろうフラグが見事に立ってますね。
まったく心の準備ができていない所へ「超大型巨人」が再出現。
訓練兵たちを熱風で吹き飛ばします。
恐ろしい力を持っているかのような「超大型巨人」ですが、実はその「大きさ」と「熱風」ぐらいしか取り柄がないということが後に分かります。それでも十分おそろしいですけどね。
エレンだけは常日頃から巨人の脅威に備えて生きていますから、すぐに戦闘態勢へ切り替えます。
しかし無情にも「超大型巨人」はトロスト区の外門を蹴り壊してしまう。
(『進撃の巨人』第3話より)
シガンシナ区の悲劇が再現されてしまいました。
超大型巨人の目的
トロスト区の外門を破壊した「超大型巨人」。
シガンシナ区に現れた5年前のデジャヴュ。あの時は門を破壊してすぐに姿を消しました。
「超大型巨人」たちが門を破壊して壁内を追い込むのは、「始祖の巨人」の持ち主をおびき出してお持ち帰りするため。
(『進撃の巨人』第96話より)
壁内がパニックになれば「始祖の巨人」が動き出すだろうと見込んでいたのです。
ウォール・マリアを突破してもその目的が達せられなかったので、次の段階へ移行したのです。

(『進撃の巨人』第2話より)
今回はすぐそばに訓練兵がいます。そしてエレンは嬉しそうに立ち向かいます。
自分の手で復讐するチャンスが得られて嬉しかったのかもしれません。
「絶対逃すな!!壁を壊せるのはコイツだけだ!!コイツさえ仕留めれば。。。!!」
果たしてエレンは復讐を果たせるのか、といったところで第3話が終了します。