憲兵団師団長ナイル・ドーク
エレンを憲兵団に委ねるか、調査兵団に委ねるか。それを決める審議会。
ここで憲兵団師団長ナイル・ドークが初登場します。
ナイルはエレンを殺処分するべきと主張しているため、読者は彼を「雑魚キャラ」としてミスリードしてしまいがち。
(『進撃の巨人』第19話より)
ですがナイルはエルヴィンが心を許す数少ない友人の一人です。
ナイルは非常に正義感が強く、エルヴィンとともに調査兵団を目指したこともあったのですが、結婚し子供が生まれたことで調査兵団入りをあきらめました。
憲兵団のトップとは言っても第一中央憲兵とは全く関わりがなく、ほとんど会うこともないらしい。
憲兵団が組織として腐っているのは確かですが、ナイル自身は人間として決して腐っていないようです。
今後も大きな影響力を発揮する重要人物です。
ウォール教の目的
審議所にはウォール教会員も来ていました。
読者は彼らのことも「単なる頭のおかしいモブキャラ」としてミスリードしてしまいがちです。
(『進撃の巨人』第19話より)
しかし実は彼らにも重要な役割が課せられていました。
ウォール教はレイス家の指示により壁の秘密が大衆に知られないよう日々監視しています。
さらに、訓練兵団に入ったヒストリアが秘密を守っているかどうかも監視しています。
彼らはニセモノではなく本物の王を知っていて、その圧倒的なカリスマ性に心酔しています。だから命がけで仕事をしますし秘密も守ります。
ここでも審議の流れを見守り、偵察しているわけです。
彼らはエレンが「始祖の巨人」を継承していることが分かっていて、早くそれをレイス家へ戻したいと考えているのでしょう。
エルヴィンの勝算
憲兵団側がいくら理屈をこねて正論を主張してもエルヴィンは焦りません。
ザックレー総統を含め、この場にいる全員を納得させることができるという勝算があったからです。
だから「エレンが調査兵団に入ればウォール・マリアを奪還できる」と短く主張するだけにとどまりました。
その勝算とはなにか?
それはリヴァイの強さです。
審議所であえてエレンが暴走するようしむけ、それをリヴァイが制圧してみせるというシナリオ。

(『進撃の巨人』第19話より)
もうボコボコです。圧倒的強さ。
エレンを殺処分しようとすれば巨人化して暴れるかもしれない。審議所は恐怖に包まれます。
そうなった時に誰がエレンを制圧できるか?
そんなことができるのはリヴァイだけです。
つまりエレンは調査兵団に委ねるしかないという結論に至ります。
それを実演してみせたわけですね。
ましてや調査兵団は「エレンがいればウォール・マリアを奪還できる」と言っているわけですから、もはや異論を挟む余地がなくなります。
エルヴィンの宣言
エルヴィンはザックレーにひとつの宣言をします。
「次の壁外調査で大きな成果を上げ、エレンが有益であることを大衆に示し内地の安静化を約束する」と。
この宣言が決め手となりエレンは調査兵団に入りました。
(『進撃の巨人』第19話より)
エルヴィンは次の壁外調査で何を狙っているのでしょう?
それは敵の捕獲です。
エルヴィンはこの時すでに気づいていたのです。敵も巨人化能力を持った人間であり、すでに兵団内部に潜入しているということに。
その根拠は、トロスト区の内門が破壊されなかったこと。
シガンシナ区と同様に、敵はトロスト区の外門を破壊した後に内門をも破壊しようとしていたはず。しかしそれは中止されました。
敵にとって何か想定外のことが起こったからです。それがエレンの巨人化。
つまり敵の目的は「エレンを捕らえること」に変更されたわけです。
エレンを餌にして走れば敵は追いかけてくるはず。だからエルヴィンはそこに罠をはって敵を捕獲してやろうと考えたわけですね。
タイトルの謎
今回のタイトルは「まだ目を見れない」。これは最後まで意味が分かりませんでした。
誰が誰の目を見られないのか?
今回の話の中で目を合わせていないのは
・エレンとリヴァイ
・エレンとニック司祭
この2パターン。
有力なのは「エレンとリヴァイ」ですね。あれほどボコボコにされたので、エレンは恐怖のあまりリヴァイの目が見られない、と考えるのが自然。
次点は「エレンとニック司祭」。ニック司祭はレイス王に心酔しているので、その根本的な力の源である「始祖の巨人」を継承したエレンを直視できない、と考えることもできます。
この謎もいつかハッキリ分かると良いのですが。